碁石の色は、基本的にと言う言葉などは不必要なほどに「黒」と「白」である。
一時、「黒」と「白」とでは人種的な色合いがあるとかで、他の色が相応しいのでは
との記事を何かで読んだ記憶があるが、これはひとつの文化表現に対しての他文化
からの干渉と言えなくもないのだが、碁石の色にその後何事もないのは幸いである。
しかしながらその昔素材が木であったと言う頃には、「白」色系はさて置いて、対
照としての「黒」色系は塗色を施してでもいたのであろうか。碁史なるものをあまり
読んでいないので詳細を知らない。
ところで、この「黒」と「白」、英語のblack(黒)と、仏語のblanc(白)は同根と言
うと黒白つけがたいことになるのだが、
原義はゲルマン語系のblank-輝く・白いが、
俗ラテン語で、blancus、フランス語でblanc、スペイン語でblanco、
ポーランド語でbranco、イタリア語でbianco、(←白系)
それが英語では、白→白紙の→空白の→「黒」 となった
ものらしく、無彩色の点が「白」と「黒」との共通項とのこと。
カラー以前の「白黒」テレビは、英語では「黒白 black and white」、スペイン語では
「白黒 blanco y negro」というから少しくまぎらわしいが、その言語にある特有の語
感と言うものだろう。
言葉のこの程度の語順前後は意味がそれ程変わらないが、碁の場合は石の手順前
後は意味をなさなくなる。そのへんの感覚は碁感と言えるものかも知れない。