(1) 「碁の基本思想」
◎ 石は生きている。(梶原武雄)
◎ 碁は生きていますから、その時その場ですべて答えが違います。(前田陳爾)
◎ 碁は計算ではない、それ以上の何かがある。(藤沢秀行)
◎ 何も技術を磨くことだけが上達の道とは限らない。(武宮正樹)
◎ 碁の正しい打ち方は必ずしも論理的なものばかりではなく、極めて感覚的にとらえられる場合が少なくない。要するに、経験に基づく感覚的な把握の仕方で、理論を越えたケースが多いのです。ということは、そうした感覚向上が、とりもなおさず碁の上達に結びつくということになります。(大竹英雄)
碁は戦い
◎ 碁は石の生存の争いであり、地は結果として生ずる。
◎ 地の大小だけが碁の要素ではない。
◎ 碁の基本は戦い。(加藤正夫)
◎ 碁は戦いにあり。
◎ 囲碁の囲は地を囲う意味の囲と思われるのであるが、それは碁の最終目的を言い現しただけのことで、事実は戦いに始まって戦いに終わるといって差し支えない。(前田陳爾)
◎ 碁はたいへん紳士的なゲームですが、究極において地域の多少を争う以上、本質的に戦いであることは言うまでもありません。攻めて勝つのが本道です。(坂田栄男)
◎ 碁の最終目標が地を多く確保することにあるのは、多言を要さぬところですが、しかし一局を通じてその大部分が攻防に終始することを忘れてはなりません。(大竹英雄)
◎ 碁は、石の戦いであり、また、意思の争いでもあります。つまり、心技一体が要求されるのです。(前田陳爾)
◎ 碁は戦いです。戦いは意志の争いです。ですから相手の言いなりになってはいけません。(工藤紀夫)
◎ 攻撃と防御が碁の本質で、地を取るのが本線ではない。(佐藤昌晴)
◎ 碁は所詮「カ」なのである。(影山利郎)
◎ 碁は互いの石が持つ力関係のゲームです。(趙冶勲)
◎ 囲碁は陣取りである。相手より少しでも多くの陣地を取るために戦う。(石田芳夫)
◎ 先手を握っている側が、ここはあなたに上げます。そのかわり、こちらを私に下さいというそんな平和攻勢的な行き方は気にいらない。(梶原武雄)
碁は臨機応変
◎ 碁は色々な考え方で打てる。ひとつの碁が絶対ではない。(小林光一)
◎ 一寸先は、どうなるのかわからないのが碁。
◎ 機に臨み、変に応ずるのが碁の心得。
◎ 碁は生きていますから、その時その場ですべて答が違います。つまり、盤数の積み重ねが大切なのです。(小川誠子)
◎ 碁は変身にあり。
◎ 周囲の配石によって常識が変わってくるのを知ることが大切。(小川誠子)
◎ 石の流れに応じ、潜在意識は捨て去る融通性が欲しい。(前田陳爾)
碁はバランス感覚
◎ 碁は調和にあり。(呉清源)
◎ 碁では、相手に与えるのも一つの思想。
◎ からいだけでも厚いだけでも、碁はいけない。現代の碁は、全局のバランスが大切。(小林光一)
◎ 碁では「相場感覚」というものが大切。相手の石数が多いところでは、戦うにしても地を争うにしてもそれなりに譲り、身分不相応に頑張って損をしないように。(片岡聡)
◎ 碁はもともと1目勝てばよいというゲームですから、この1目というのは碁の本質を表現しているわけでもあります。ともかく1目勝つことの重要さを知っていただきたい。(曲励起)
碁は自然体
◎ 平凡な手で良ければそれに越したことはない。
◎ あまりひねらず、自然な手が大体は良いとしたもの。(三村智保)
◎ 碁では、必要(意味)のない手はすべてが悪手です。
◎ 碁はなるべく紛れを避けるのが賢明な策。
碁の戦法
◎ 弱石を作らぬ用心が肝要。
◎ 弱石を作ると、相手に主導権を握られる。
◎ 相手のミスをとがめる、碁とはそうしたもの。
◎ 碁は固きを避けて、弱きを攻めるもの。
◎ 敵が強いところでは堅実に控えて打ち、味方の強いところでは大きく広げて打つ。これは定石に限らず、碁一般の原則である。(梶原武雄)
◎ 手厚い勝ち方とは、表現を変れば、優勢の碁を逆転されにくく打つということです。(上村陽生)
碁の主導権と先手
◎ 序盤の布石作戦から中盤の戦いを通じて、プロでもアマでも、碁はお互いのぺ一スの争いです。どうしたら自分の得意の局面に導けるか、対局者の苦心もそこにあります。碁盤のペース争いに勝つことこそ勝利への最短距離といえるのです。(坂田栄男)
◎ ヨセに限らず、先手、後手の問題はきわめて重要な要素です。(曲励起)
◎ 先手の意味をもっと拡大して、先手すなわち主導権というふうに解釈すれば、序盤から終盤に至るまで、碁はすべて先手をめぐる争いということができます。特にヨセでは、打つ箇所がある程度限定されてきている段階なので、先手が何にもまして貴重になっているのです。(坂田栄男)