(10) 生きる、逃げる、サバく、シノぐ
石が危なくなったとき、まず、迫られるのは手段の選択です。
「生きる」か、「逃げる」か、「しのぐ」か。
そのテクニックを手筋といいます。(工藤紀夫)
「生きる」は、完璧な安全策。
「逃げる」は、とりあえずの条件づき。
「シノぐ」は、手段を選ばない対抗策。
逃げ
◎ 「逃げる」、追いかけるの反対、情けないポーズですが、こだわることはありません。ともかく、逃げの絶対条件は、追うものよりスピードを持つことです。しかし、生きたわけではないので、逃げたあとも問題は残ります。(工藤紀夫)
◎ 逃げのポーズはまさに千差万別です。局面によって、手筋も手法も異なり、一定の法則らしきものはないのがやっかいなところ。従ってどうしても場数を踏んで学ぶ必要があります。(工藤紀夫)
◎ 中央へ進出するのが脱出で、より強い味方とつながるのが連絡。小さく生きるよりは脱出もしくは連絡を考える習慣を身につけよう。
◎ 安全な石に連結することも一つの脱出。
◎ 連絡形になると、相乗効果で石の働きは一層活性化する。
◎ 盤端は使いようによっては(連絡の)強力な味方。
サバキ
◎ 相手がカで来るなら、こちらは軽いサバキで。
◎ サバキが得意な方は、まず間違いなく高段者。(加藤正夫)
◎ ただ逃げるのではなく、ただ生きるのではなく、応手によっては反撃できるサバキを考えよう。
◎ 相手の有利な場所では戦いよりサバキ、これは碁の鉄則。(福井進)
◎ サバキで大事なのは、相手が手をかけた所に後から入って行くのだから、余り多くを望まないこと。(小林光一)
シノギ
◎ シノギには色々なケースが生まれます。「生きる」や「逃げる」もシノギの中の一つのパターン。このほか、大きな攻め合いにもっていく壮烈なシノギや石を捨ててフリカワっていく打ち方、攻めさせながらあましていくなど、考えがやや戦略的になってきますが、そういった積極的なシノギもあります。(工藤紀夫)
◎ シノギの要領として大切なことは、敵のキズを深くして、それをシノギの足しにするということである。(菊池康郎)要するに、配石の味を見て手筋を使うということになりますが、言うは易く、やるのは難しい。見ただけでは分かるものではないので、練習を積み重ね、少しづつ肌に溶け込ませるほかはない。(工藤紀夫)
◎ シノぐ場合の心得ですが、これは、相手との相対関係で考えることです。(碁そのものが相対関係と言ってしまえば、身も蓋もありませんが、)シノギは、生きなどと異なり、石がせっている場面をいうのですから、そこに必ずなんらかの形でアヤが生まれます。ちょっとしたキズ、わずかな味、そういうものでも鋭く見つめる眼がないと難しいのです。(工藤紀夫)
◎ シノギを削るの表現もあるように、攻める方の危険度も高いのがシノギの場面です。(工藤紀夫)
◎ シノぐカとは、瞬発カを言うのでしよう。俗に、火事場の力持ちなんて言いますが、火事場の力持ちと違うのは、夢中になってはいけないことです。冷静に局面を見つめなければ、とてもシノぐことはできません。(工藤紀夫)
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