(14) 捨て石、カス石・要石
石の強弱
◎ 石が弱いか強いかを見分けるのは、地合いの計算と同じく「形勢判断」の大事な材料です。弱い石はマイナス分を見込まなければならないし、強い石はプラス分を見込むことができるでしょう。いわゆる「おコボレ」です。(小林覚)
◎ 非情なようでも、弱い石は見捨てるより仕方ありません。オトリにする、刺し違える、フリカワルなどで利用することを考える。(小林覚)
捨て石と弱石
◎ 碁は不思議なもので、必ずしも常識が通用するとばかりは限らないのです。身を捨てて浮かぶ瀬もありと言う言葉がありますが、機に臨みそのような考え方が必要なときもあります。(桑原宗久)
◎ 食らいついたら離さないという精神も大切ですが、局勢の動きに応じて、取った石でも手放すという幅のある考え方も大事です。(藤沢秀行)
◎ 捨石もひとつの手筋と思っていただいて結構です。碁では常に石を捨てる心がまえが必要です。定石、戦い、ヨセ、死活を問わず、必ずその技術の要求される場面があります。石を捨てることを知って、碁は一人前と言われます。碁を一段と上達させるためには、この技術をマスタ−し、あらゆる場面で駆使できるようにしなければなりません。(林海峰)
◎ 石を捨てるのは損に決まっている。それなのになぜ捨てるのか。それは石を捨てることによって何らかの得を図るためである。(梶原武雄)
◎ 石を取られるのはやさしい。誰でもできます。しかし捨てるのはむづかしい。うまく捨てられれば、一人前の腕といえましょう。隅でも捨石一発、左右からの先手ヨセなどのケースはあるものです。(藤沢秀行)
◎ 石は捨てても、シメツケが利けば文句なし。
◎ 固い壁にくっついた石は、無理に引っ張り出さずに捨てるスジ。
◎ 捨て石は、オツリがくるように捨てよ。
◎ 捨て石は徹底的、かつ完璧に行うこと。
◎ 石の取り方と取らせ方は表裏一体の関係にある。石を取るときは効率よく、取らせるときは捨て石として十分に働かせる。
◎ 石を捨てればいいことがある。それに気づくレベルに到達したら、さらにその上に、積極的に石を捨ててみようとするレベルがある。(趙治勲)
◎ 捨て石は、あくまでもこころづもりは捨てるで、相手の応手によっては逃げるが出てくるかも知れないということ。(趙治勲)
◎ 捨て石は、相手の懐で歩ではなく、金や銀くらいの重みに感じさせよ。(石田芳夫)
◎ 捨て石が技術的とすれば、外廻りは作戦的である。(梶原武雄)
◎ 死んでいるからこそ、動き出して、大いに利用するのである。(梶原武雄)
◎ 高手の碁というものは、要らないからあげるよというと、いや取りたくないという。(梶原武雄)
◎ 捨て石戦法は実に積極的な戦法なのである。(梶原武雄)