(18)石の働きと本手、凝り形
石の働き
◎ 石に心あり、石に方向あり。(梶原武雄)
◎ 碁とは、既着の石を働かせるゲームといえます。序盤・中盤・終盤に至るまで、この心は変わらないものです。無論部分だけのやりとりがないわけでもありませんが、その場合でも、前に打たれた"石の心"が受け継がれなければいけないのです。(前田陳爾)
◎ 相手がやってきたら、まずはじめにその意図を察することです。(前田陳爾)
◎ 石の働きを専門家は最も大切にします。碁で死んだ石をばかり打っていたのでは、勝てるわけがありません。では、石の働きとは具体的にはどういうことかと言うと、ひと口に言うと、大変欲ばっていますが、二つ・三つの役割を同時に持つような石ということになります。一つの石で同時に二つも三つも役割を演じるような石を働いていると言うのです。働きのある石を打つよう心がけて下さい。石はいつでも働かせるようにつとめてこそ力がつくのです。実戦で働きのない石を打っていては上達は無理です。(曲励起)
◎ 碁は石の能率戦などと言われます。いかにして盤上の石を働かせるかが重要なポイントです。(工藤紀夫)
◎ 碁とは、くだいて言えば、つまりは石の使い方なり。
◎ 「ぬるい」プロはこれを一番嫌うのである。
◎ 「石の働き」を我々専門家は最も大切にする。「石の働き」とは、一口に言うと、二つ三つの役割を同時に持つような石ということになる。(曲励起)
◎ 碁はすでにある石を有効に活用することが大切。
◎ 盤上にあるうちは、たとえ取られ形になっていても、可能性だけは秘めているものです。(工藤紀夫)
◎ 石はいつでも働かせるように努めてこそカがつく。(曲励起)
◎ 同じ打つなら、働きのある手。
◎ 働きのある手は、薄くなる。
◎ 二の矢のない手、芸のない手。
◎ 働きのない石が出たら、どうにかしてうまく捨てることを考えよ。(工藤紀夫)
◎ 強い手には副作用が伴うことがあるので要注意。
◎ 1手の緩急で碁というものは恐ろしく変わるものである。
◎ つきあいは、すぎては碁では緩手なり。−ヨセの場合特に−
◎ 比較の能力も実力のうち。一局の碁は(1手毎に)Aか、BかCか...と、目前の手の比較の連続です。(趙治勲)
◎ 不自然な手を打たされるのは元に問題あり。(趙治勲)
◎ 悪手を打ったら、3分間別のことを考えよ。(石田芳夫)
◎ 相手にひびかない手は、その分価値が小さくなる。(梶原武雄)
◎ 様子見の手は、一歩遅れると全然意味をなさなくなる。(梶原武雄)
◎ 可能性を保留して打てば、石は百の働きが生まれる。(梶原武雄)
◎ 根拠に関する要点と、それからすさまじい狙いのある手を見逃してはいけない。
◎ 最小の手数で1目を抜くポン抜きは、手割というものから見ても何から見ても最高度の石のスタイルだ。(前田陳爾)
◎ 僕の場合、石の働きを非常に重く見ます。例えば、押し込められて眼二つで生きるのは、働いているとは言えません。どのような状態なら働いているのか、石が上へ上へと発展するのが、一番働きがあるんです。(武宮正樹)
◎ 石が働くとは、例えば、もう一手囲えば地になる瞬間に荒らしに行くとか、もう一手かけられると封鎖されるときに飛び出るとか、そういう使い方が働いているということであり、不必要なときに荒らしに行ったり、飛び出るのは「ぬるい」つまり、石の働きを無視しているのです。(武宮正樹)
◎ 石の急所といった点がある。急所をとらえればうまくいくが、急所を外れると逆に相手にやられてしまう。これは碁にかぎったことではありません。(曲励起)
◎ 石はいつどこで、どのように活躍するかわかりませんから、たとえ一石でもおろかにしない心掛けが肝要です。(岩本薫)
◎ 着手の価値は、その石の働きの多面性と密接なつながりがあります。例えば「守る」にしてもただ単に死なないように用心するばかりでなく、できるだけ大きく地を確保し、或いは相手の弱点を狙うなど、多くの目的を持たせなければならないのです。(藤沢秀行)