(20) ヨ セ
視 点
◎ ヨセとは、単なる境界線争いではなく、大仕事の成否を決める総仕上げ。
◎ ヨセというものは常に全局的な視野を必要とする。(加納嘉徳)
タイミング
◎ ヨセのタイミングの捉え方の上手下手で、勝負けが直接影響することはいうまでもありません。(大竹英雄)
◎ ヨセは、攻め味、死活など全てのアヤがなくなってから打つのもで、中盤戦で打ってはいけない。
◎ 碁は石の生存の争いであり、地は結果として生じるものだから、生存権に関する味や含みを大切にし、それがなくなったとき、つまり、戦いが終わったとき、初めてヨセに入るのが正しい。
◎ ヨセに入るに当たって、どのような心得えでのぞむべきか、考え方の一つは皆さんが中盤戦というものをどのように理解し、ヨセと区別しているかという点です。中盤戦はご承知のように石の攻防に終始します。極論すれば、相手の石を取るか、自分の石が殺されるかという厳しい状況におかれているわけです。従って、もし相手の石の活き死にが全てはっきりし、自軍の石もそうした状祝になれば、中盤戦は終了したのです。まず、このことをしっかり頭の中に入れて置くことが大切です。そこで、要は中盤戦の切り上げ方が問題になります。なんとか先手で切り上げて、ヨセに先着する必要があるのです。(大竹英雄)
計算の方法論
◎ ヨセの計算はすべて両者が打ったと仮定した形の差の目数ということになる。その場合において、最も大切なことは両者が打った場合の最終の形を正確に割り出すことである。(加納嘉徳) ―出入り計算―
◎ ヨセの基本は、手の大きさの計算です。手の大きさは、自分が打ったとき、相手が打つたとき、その双方の結果を比べて決める。(石田芳夫)−出入り計算−
◎ ヨセは、両先手、片先手、両後手の三種類ですが、先手といってもそれは時期によります。大きさは全局と関連しているので、適切な時期の適切なヨセが最善のヨセの大きさと言えるでしょう。(加藤正夫)
ヨセ方
◎ 手の価値を知り、大きい順に打つのがヨセの鉄則です。(石田芳夫)
◎ ヨセの原則、まず上から消して、それから一線のハネツギ。
◎ まず先手のヨセを考えよ。
◎ 逆ヨセは、単純な後手ヨセの二倍の価値を持つ。
心構え
◎ 先手、後手の関心なしには、ヨセを打つことができません。(石田芳夫)
◎ ヨセにおいては、先手か後手かということの判断は極めて重要です。(大竹英雄)
◎ ヨセは注意力の争いです。(石田芳夫)
◎ 「序盤の10目は惜しむな、ヨセの1目は惜しめ」といいます。布石は一局の骨格を形勢する時期ですから、部分にはこだわらず、どんどん大場をめざします。しかし、ヨセはキメの細かい仕上げの段楷ですから、1目、半目もおろそかにしない緻密な神経が要求されるのです。(坂田栄男)
◎ 細かいことを言うようですが、例え1子でもムダをしてはならない、という考えが碁の場合は特に必要です。(大竹英雄)
◎ 例え1目といえども決しておろそかにせず。"1目ぐらいは・・・" という考えを持っているかぎり、棋力の上達はおぼつきません。(曲励起)
◎ 細かいことを言うようですが、1目差でも勝負につながるのが碁です。わずか一目といって軽視してはいけません。普段の注意がほしいものです。(岩本薫)
◎ ヨセで損をする理由を考えてみると、まあいいやというズサンな神経のほかに、ヨミの不足ということが言えるようです。(坂田栄男)
◎ 受けてばかりいては、碁に勝てず。(景山利郎)
◎ 相手について回らず、先手をとる。これが大切。(林海峰)−ヨセに限らず−
◎ 大きさの判断と先手後手をうんぬんする前に、やはり正確なヨセ方をすることは論を待ちません。(曲励起)
◎ 実戦的なヨセの心得を上げておきます。(加藤正夫)
・布石、戦いにもヨセはある。極端に言えば、碁は最初からヨセと見ることもできる。
・早すぎるヨセは味を消す。ヨセには適正な時期がある。
・ヨセの手順は全局から決まる。双方のコウ材の数によってヨセの大きさは異なります。形勢有利なら小さくても手厚いヨセを選ぶなどの配慮も必要でしょう。ヨセはあくまでも勝利へ向けての手段なのです。
・ヨセの大きさは一手ごとに異なる。
・先手は時期による。
・ヨセの手どまりに注意を。大きさばかりではなく、その個数にも注意を払うこと。
・手筋と大きさは無関係である。手筋はヨセの大きさを拡大するだけの働きしか持たないことを知ること。